松くい虫防除説明会ででた地元民のホンネ

公開日: 2016年5月29日日曜日 ご近所さん

浜辺に広がる松林と松くい虫

離島のはずれにある人口500人ほどの過疎の集落、浜辺には立派な松林が広がっています。

海風から集落を守る大事な防風林でもあるのですが、これは40年ほど前に松くい虫にやられてほぼ全滅したものが、ようやくここまで育ってきたものだそう。

松くい虫というのはマツノザイセンチュウによって松の木が食い荒らされる病気です。原因となるマツノザイセンチュウはマツノマダラカミキリというカミキリムシが媒介するため、被害を広めないためには、このカミキリムシを防除することが大事だとされています。


県による説明会

土曜日の夜、公民館に集落の人が集められ、県による説明会が開催されました。

この離島でも松くい虫による松枯れが確認されたことから、防除のための農薬を無線ヘリコプターで空中散布をするとのことでした。散布する農薬はマツグリーン。これを散布することで、カミキリムシが卵を産むことを抑止し、被害を予防するとのことです。

また、「健康被害は報告されていないが、念のため、当日は散布区域に近づかないこと」「散布区域近隣の方は、当日は外に洗濯物を干さず、ペットがいる場合は屋内に入れること」「野菜などを育てている場合は覆いをかけること」「散布区域内の山菜などは1カ月間は採集しないこと」「自動車などに薬剤が着く可能性があるので、ビニルカバーを配布すること」「ミツバチを飼育されている方には影響があるので、ミツバチを避難すること」といった注意事項が報告されました。


地元の方からの質問

地元の方からは、小学校の登校時間と重なるので散布時間をずらしてほしいという要望があり、受け入れられました。

また、子どもへの影響がどうかという質問があり、「国の基準を通ったものであり、人体への重大な影響は報告されていない。ただし、農薬なので将来は違う結論が出る可能性が無いとは言えない。なるべく近づかないようにしてほしいし、近づかせないようにする。何かあったら、すぐに病院に行ってほしい」と、真摯な回答なのか、不安をあおる回答なのかわからない回答がありました。

この他にもいくつか質問が出ていましたが、地元の方からの声は、基本的には農薬散布はやむなし。お上が言うんだから大丈夫なんだろう。という印象です。

個人的には、専門分野でもない良くわからない世界の話だし、マイナス面も含めて素直に話す県の担当者には好感を持てました。


そして、移住者のターン

このまま終わるのかな、と思っていたら。立ち上がり、チラシを配りだす人が出てきました。

チラシには、
 ・今回使うネオニコチノイド系農薬はとても危険
 ・松くい虫の自然移動速度は年間4㎞なので今年は不要
 ・薬剤が必要だとしても空中散布は危険なので樹幹注入にすべき
といったことが書かれています。

その場でスマホを使って、ポチポチと検索をかけると、言っていることにもそれなりに筋は通っていそうです。

なかなか弁もたつ人のようで、県の人が一つ一つ答えていきますが、県側がどうも押し負けている様子。チラシにはなかったのですが、口頭ではどこぞの論文を引用していたり、かなり本格的な追求です。


そのうち、だんだんエキサイトしてきて

お役人さんってきっとこういうものなんでしょうけど、ノラリクラリと躱す県からの返答に徐々にエキサイトしてきて、追及する側の口調も荒くなっていきます。

徐々に他の移住者の方も加わり、主に「安全性」についてを軸に県側をつついていきます。

「ヨーロッパでは禁止されている薬剤なのに、ご存じありませんでしたよね?」
「もし体調を崩したら県は責任を取ってくれるんですか」
「あなたお子さんいらっしゃいますか?安全だというなら散布当日連れてきてください」
と、やがて議論は感情的な話へと突っ走っていってしまいました。


ついに爆発

そして、とある移住者のお母さんが「放射能の不安から住み慣れた土地を捨てて移住してきたのに、日本に安全なところは無いのか」と半分叫ぶように言ったとき...

「誰もあんたらに来てくれなんて頼んでないよ。あんたらよりも松林や松林の守ってくれる家が大事だ。嫌なら出てってくれ」との地域ボスの発言が出、会場はシーンと静まり返りました。

その場は、町の役人さんが「この場で回答できない問題もあるので調べて後日回答する。時間も時間なので、本日はここで占める」と無理やり終わりにしました。


それがホンネなんでしょうね

だた、「嫌なら出てってくれ」という地域ボスの発言は田舎の人のホンネなんでしょうね。感情的な議論を吹っかけていった移住者側にも問題はあるんでしょうし、これまでにも色々積み重なったものがあったのでしょうが。

良くも悪くも、現状に満足して変化を望まない田舎。変化を望む人であれば、昨日の議論も良いきっかけだとは思いますが、変化を望まない人にとっては煩いだけ。

その昔、コンサルタントを生業としていたころに「チェンジマネジメント」という手法を学びました。まずは、変わろうとする意志が無ければ変われないんです。

変わろうという意思は現状への危機感から始まりますが...何もしない方がこの人たちには幸せなのかなぁ。


  • ?±??G???g???[?d????u?b?N?}?[?N???A

0 件のコメント :

コメントを投稿